今回は認知症ケアのポイントについて、お話させて頂きます。
前回、認知症について、不安や孤独といった精神状態の背景を理解したうえで、安心・安全を提供することが基本となることをお話しました。安心・安全は人それぞれ感じ方が違います。
認知症の症状として、「同じ質問を何度も繰り返し聞いてくる」「家や施設の中を徘徊する」「弄便行為を行ってしまう」等が挙げられます。
これらは問題行動とされ、介護者を悩ます行動です。しかしながら、こうした行動の多くを、本人なりに困ったつらい状況を変えよう、解決しよう、あるいは周囲に思いを伝えようと努力した結果、あらわれたものと近年では捉えています。
頭ごなしに否定をするのではなく、介護者から見れば問題行動と感じる行動も、認知症の人からすれば、「自分なりに問題を解決しようとした結果」が問題行動として出てしまっている可能性があります。
そのような背景を理解し、「認知症の人」ではなく「認知症の人」を見ることが、その人にとっての安心・安全を見つける糸口になるかもしれません。